「ロサ・ミステカ物語」

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 ◆作家: Christine.S.Bellen
  挿絵: Liza.A.Floes
 ◆HP挿絵: Marjorie.Uehara
 ◆タガログ語朗読.翻訳: Mei

:この物語は、母親が子どもに読んで聞かせる児童書です。
 フィリピンの本屋で見つけました。タガログ語で書かれています。
 作家も、おばあさんから聞いたフイリピンの昔話をもとに書いたようです。
 作家の Christine.S.Bellenと挿絵の Liza.A.Floesは、共にフイリピン大学の学生です。
:HPの挿絵は、学生のMarjorie.Uehara(19歳)さんが描きました。
 タガログ語の朗読は、Meiちゃん(13歳)が読んでくれました。
 フイリピンのタガログ語を聞いて下さい。

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■昔、ロサ・ミステカという幼い子がいました。ミステカにはお父さんもお母さんいません。
 ブラカンという町の、親戚(しんせき)のおじさん・おばさんの家で暮らしていました。
 このおじさん・おばさんは、たいへん悪い人で、幼いミステカをメードのように使っていました。

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■彼らはミステカを毎日奴隷のように使っていました。
 食べ物もじゅうぶんに与えず、休む時間も与えませんでした。
 いつもミステカを怒って使っていました。
 ミステカは、毎日夜遅くまで働き、そのあと馬といっしょに馬小屋で寝ます。

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■クリスマス・イブのパーティが、おばさんの家で開かれます。
 おばさんは、ミステカに町で食事をするようにと25ペニーを与えました。
 ミステカをクリスマス・イブのパーティーに参加させませんでした。
 25ペニーでは、満足な食事をすることも出来ません。

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■ミステカは、お腹をすかして町に来ました。
 町は、にぎやかで沢山の人達がいました。
 両親のいる家族はとても幸せそうでした。

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■町には、たくさん子どもたちもいて遊びやゲームをしていました。
 食べ物も売っていました。5セントでした。
 ミステカのお腹はたいへんすいていました。

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■赤いお人形のおもちゃを見たとき、それがとても欲しくなりました。
 寝るときに、それをだいて寝ることが出来るからです。
 でも、とてもお腹もすいていましたので迷ってしまいました。

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■その時、貧しい女の人が子どもをだいて、道にすわっていました。
 ミステカは、手ににぎりしめていた25ペニーを強くにぎりしめました。
 そして、そのお金をあげました。

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■その貧しい女の人は、ありがとうと言って、そして
 ミステカをみてこのお金は、あなたに取ってとても大切なお金ですと言って
 25ペニーをもどしてくれました。
 ミステカは私は、がまんが出来るのです。
 このお金で、子どもにパンを買って下さいといってふたたび渡した。
 貧しい女の人は、ありがとう昨日の夜から何も食べていないのです。
 あなたはとてもよい子ですね。と言っておもちゃの入った小さな袋をくれた。
 それから優しく笑顔でほほえんでくれた。

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■ミステカは、ありがとうと言ってまた町を歩き始めました。
 疲れたので公園で腰をおろして袋を見ました。袋の中には25ペニーが
 入っていました。返そうと思い女の人を探しましたがいませんでした。

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■また、袋の中を見ました。すると沢山のお金が入っていました。
 ミステカは、ビックリして、まるでまほうにかかったようです。
 それからミステカは、
 貧しい子ども達にお金を分け、いっしょに食事をしました。
 みんなは、たいへん喜んで幸せそうでした。

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■教会に行くと、マリア様と幼児イエスの絵がありました。
 それは、ミステカに袋をくれた女の人でした。
 マリア様は、ミステリカを見て、やさしく微笑みました。
 ミステカの心は、温かくなりました。
 そして、もうおばさんの家には帰らないことを決めました。

★この読み物は、日本語教育の原稿として書かれました。
 学習レベルは「N4-5」の学習教材です。
 この物語は、フイリピン人の心のよりどころ「マリア信仰」を基に書かれてあります。
 ロサ・ミステカは聖女の名前です。
 貧しい者同士が持てる物を分け合うという心は、現在のフィリピン社会に多く見られます。


日本語を読む 2017/09 (記)   

    


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