中3国語 (光村図書)     - 夏草 「奥の細道」から -     本文2(平泉)        


★「平泉」の章では、松尾芭蕉が奥州藤原氏ゆかりの土地を訪れ、この史実を回想しながら物語が展開されています。
平泉は岩手県の南部にある土地で、平安時代に奥州藤原氏という一族が治めました。
特に藤原清衡、基衡、秀衡の親子3代のときに最盛期を迎えますが、その栄華は長くは続きませんでした。
藤原秀衡が、源頼朝から逃げてきた源義経をかくまったことを発端に、源頼朝によって滅ぼされてしまったのです。
(諸説ありますが、源義経もこの地で死んだとされています。)

【現代語訳】 著者:走るメロスさん(Webから)

■三代(にわたって栄えた藤原氏)の栄華も一睡の夢のようにして(はかなく消え)、
(藤原氏の館の)大門の跡は一里ほどこちらにある。
秀衡(の館)の跡は田や野原になっていて、金鶏山だけが(昔の)形を残している。

■まずは高館に登ると、(眼下に見える)北上川は南部から流れてくる大河である。
衣川は、和泉の城を取り囲んで(流れ)、高館の下で大河(北上川)に流れ込む。
(秀衡の息子の)泰衡たちの旧跡は、衣が関を間において、
南部地方からの入り口を厳重に警備し、夷(の侵入)を防いだと思われる。
それにしても(義経は)忠義の家臣を選りすぐってこの城に立てこもり(戦ったが)
功名は一時のことで(今は)草むらとなっている。

■(戦争によって)首都が破壊されても山や川は(昔のままかわらずに)あり、
(荒廃した)城内にも春がきて草や木が深々と生い茂っていると(杜甫が詠んだ句を胸に)
笠を敷いて(腰を下し)、時が移るまで涙を流したのであった。

■夏草や兵どもが夢の跡
・昔、武士たちが栄誉を求めて戦ったこの場所には今、夏草が生い茂っており、
 昔のことは夢のようにはかなく消え去ってしまったことだよ。

■卯の花に兼房見ゆる白毛かな 曾良
・真っ白い卯の花を見ていると、あの兼房の白髪が思いうかぶことだよ。(曾良) 

■以前から(その評判を)聞いて驚いていた二堂が開かれていた。
経堂には三人(藤原清衡、基衡、秀衡)の像を残していて、光堂には(その)三代の棺を納め、
三尊の仏像を安置している。(光堂をかざっていた)七宝はなくなり、
珠宝で飾られた扉は風雨でいたみ、金の柱は霜・雪によって朽ち果て、
もう少しで崩れ果てて何もない草むらとなるはずだったところを(後世の人たちが)四方を新しく囲んで、
(屋根)瓦を覆って雨風を防ぐ(ようにしてある)。
(新しい壁と屋根が朽ちるまで)しばらくの間昔を思う記念となっているのである。

■五月雨の降り残してや光堂
・あたりは雨で朽ちているが、この金色堂だけは光輝いている。
 あたかも五月雨がここだけには降らなかったかのように。

奥の細道「平泉」テストで出題されそうな問題

【設問と解答】
■Q1:「三代の栄耀」とは、何氏の栄耀のことを指すか。
 A:平安時代に栄えた、奥州藤原氏のことを指す

■Q2:「栄耀」の読み仮名を歴史的仮名遣いで答えよ。
 A:「えいえう/ええう

■Q3:「一睡の中にして」とはどのような意味か答えよ。
 A:夢のようにはかない

■Q4:「大河」とは何を指すか、本文中より抜き出せ。
 A:北上川

■Q5:「功名」とは、誰の功名か。
 A:源義経
 ※平泉は、源平合戦で名をあげた源義経が源頼朝に追われて逃げてきた土地である

■Q6:「国破れて山河あり、城春にして草青みたり」とは、誰の何という詩を意識しているか。
 A:中国の詩人「杜甫」の「春望」という詩

■Q7:「かねて耳驚かしたる」とはどういう意味か。
 A:かねてより、その評判の高さを耳にしていた

■Q8:「卯の花に兼房見ゆる白髪かな」を現代語訳せよ。
 A:真っ白い卯の花を見ていると、あの兼房の白髪を思い出す

☆出題:走るメロスさん(Webから)

作成日:2018/09/16         

  


   









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