-「報刊閲読」の授業を通して」-

  中国 福建省の大学で ご活躍の日本語教師からのお便り (福建省在住)

福建省のお茶

■去年から大学が代わって、新しい科目を受け持つようになった。
今学期は「報刊閲読」を初めて受け持った。
こちらの意図ばかりでなく、学生にとっても興味関心がある記事をどのように、と迷ったので、以前この科目を受け持った中国の若い先生にお訊きして、講義と演習を1マスに半分ずつ行なうことにした。

■1時間は記事を自分達で探して、選んだ訳や読解、感想を発表させ私が補講した。
グループ分けは学生に任せたところ、2~4人で分担して行なった。
補講に困ることがないよう前日までに原稿を渡してほしかったが、皆その時間にしか渡してくれなかった。

■始めてみると困るようなことはなく、却って時間が足りないくらいだった。
自分の講義のために、ネットや新聞、雑誌、ラジオ等からいつも情報を見聞きしていたからだと思う。
学生の記事は、日本や中国の政治、経済、生活と多方面に渡った。

■自分の講義の記事は、夏休みにこれもネットや新聞、雑誌等から採っておいたものと、その時々のネットの情報を取り入れた。
時々リラックスのためのハウツウものや恋愛に関するものも扱ったりした

今時の学生は本当にネットをよく利用していて、日本のことをよく調べ、普通の日本人より日本のことをよく知っていること、また以前の日本のように、ネットが先生の役割を果たしつつあることを実感した。

尖閣問題
  釣魚台とは尖閣諸島のこと

■しかし詳しい事情や裏事情、また間違っている情報等について、まだまだ私達日本人教師の指導は会話や発音、イントネーション指導の他に必要とされるべき分野がしっかりあることも自覚した。

■この講座は少し緊張をしいられるが、時には発展してディスカッションになったり、学生の感じ方や考え方を知ることができたり、とても面白かった。できたらまた来年度も受け持ちたいものだと思う。

■今年は例の事件の影響で、学生の就職状況が厳しい状況にあるが、地元の会社から通訳の募集があり、現在2名が決まりそうなことは大変嬉しいことである。
このような1つの授業を通して、日本のことをよく理解している学生に、「絶対諦めない」といつも言っている学生に、大きなエールを送りたい。

■例の事件があって、日本との人の行き来や会社・経済の繋がりの深いこの地でも、デモはなかったものの反日集会が開かれた。
人材センターからの他、ここの日本の会社や学校の外事処からも情報や注意をいただいて大変有難かった。

■9月の連休にはさすがに恒例の旅行も行く気になれず、寮近辺で退屈だが、久しぶりに落ち着いた生活を過ごした
学生も多くが帰郷している中、日本人会の方々の援助・励ましは心強く感謝している。

■しかしいつも買い物に行く商店や市場のおじさんやおばさん達は、何事もなかったようにいつも通りに接してくれて、こちらが戸惑う程で有難く思った。きっと他の学校でもそうだろうと想像していた。

今までとは少し違った心象と環境になり、学生の将来にも厳しくなった中国だが、人と人との繋がりを信じて、学生と自分を励まして一緒に勉強している。

2013/03/01 記  


  


    あかねちゃん
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