アイヌ民族について

★中国の学習者から「日本の少数民族」について、教えて下さいと依頼があった。
・学習者の住んでいる中国は、漢民族の他、55の少数民族が自治権を獲得して生活している多民族国家である。
・質問をした学習者のご両親も、少数民族である。

★わたしは、日本には少数民族は居ない。日本民族という単一民族の国であると説明した。

民族とは、言語、文化、宗教(価値観)を共有する人々の集団のことである。

・かつて日本に存在した「琉球民族やアイヌ民族」は、民族としての自治権もなく、いまは、日本民族に同化されて生活をしている。
・琉球人やアイヌ人は、いまでも少数は存在しているのだろうが、すでに日常生活では、固有の言語を話すこともなく、民族固有の文化で生活を続けていることもない。

・現在の日本は、日本民族という単一民族で構成されている世界でも珍しい国家である。

★学習者に、なぜ少数民族に興味を持っているのかと聞いてみた。

・答えは、小さいとき母親に連れられて山の奥の、おじいさん・おばあさんの所にいった。いまは、お母さんも少数民族の言葉を話すこともなく、私もその言葉はわからない。
・自分としては、なにか大切なものを失うようでさみしいと話した。

★なるほど、中国共産党は設立時、少数民族に自治権を与える政策を打ち出した。
・しかし実体は、自治権とは名ばかりで、いたる所に漢民族の進行が進んで、漢民族中心の政策が取られている。
・昨年、大規模な暴動が起きた新疆ウイグル自治区もその一例である。

★私は、最近の日本の新聞は、学習によい記事がない。
・それでは日本の少数民族について調べて見るから、それを新聞教材として学習して下さい。と話した。

・学習者のレベルは「日本経済新聞」を読みこなす上級者なので、私のつたない作文でも読みこなすことができるだろうと考えた。

★日本の琉球民族もアイヌ民族も「差別と抑圧」の中で同化されてきた歴史を持っている。
・とくに激しい弾圧と差別を受けたのは、アイヌ民族である。

日本人の多くは、このアイヌ民族の歴史をしらない。
私も授業で「アイヌ民族」を取り上げて、話をした記憶はない。


  アイヌの娘   山の神   民族衣装


★2008年版
 三省堂「日本史B」教科書「アイヌ民族」についての記述例

.古代編 第5章 P48
・811年 嵯峨天皇が文室綿麻呂に北方(東北)の蝦夷を討たせたが、10世紀前半まで蝦夷の抵抗は続いた。

2.中世編 第8章 P113
・1457年 アイヌの首長「コシャマイン」が蜂起したが蠣崎氏が鎮圧、北海道渡島半島南部の支配を始める 

蝦夷地域

3.近世編 第14章 P210
・19世紀始め、蝦夷地を直轄地にした江戸幕府は蝦夷地の開発に力を入れた。
・蝦夷アイヌの人々は、商人による抑圧や天然痘の流行、請負商人のもとで酷使され、その人口は激減した。

4.近代編 第16章 P259
・1886年に北海道庁がもうけられると、入植者による開墾で、生活の場を奪われたアイヌは、1899年「北海道旧土人保護法」の制定で保護地に追いやられ、日本語や日本式の名前を強制される同化政策をしいられた。

5.現代編 年表記載のみ
・1997年「アイヌ文化振興法」成立。 

古代以前から東北地方以北に定住していた先住民族「蝦夷」についての記述はこれだけである。

★国定教科書で、この内容であるから、多くの国民はアイヌ人の名前は知っていても、その民族と苦難の歴史を知らないのは当然である。

★そこで、私自身の勉強のためにも、「アイヌ民族」について調べることにした。

2012年9月 Ouxito(記) .

☆それでは、アイヌ民族(1) を学習してみる。

アイヌ1


アイヌ2
アイヌ2


アイヌ3
アイヌ4